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第41話【オシ16をほんの少しだけ】
第42話【年末の反省】
第43話【オシ16をほんの少しだけ2】
第44話【新製品 インテリアパネルキット オシ16に寄せて】
第45話【デジタル依存の憂鬱】
第46話【インテリアパネルキット オシ16開発こぼれ話し:その1】
第47話【インテリアパネルキット オシ16開発こぼれ話し:その2】
第48話【模型界で気になること】
第49話【国鉄時代・ハンズ三宮店・阪急電車】

   

 

 

第41話【オシ16をほんの少しだけ】

遅れに遅れお待たせを致しますインテリアパネルキットの新製品「オシ16」ですが、申し開きをしたところでお客様には関係のない話で恐縮ではありますが、企画開発・制作販売も私ひとりの零細体制では(それは個人事業であるが故の設定価格との引き換えでもある訳ですが)「オシ16」に注力する余りに枯渇する既存製品の時々の受注も絡めばハンドリングも悩ましく、設定された期限・目標に向かってチームで仕事をしたサラリーマン時代なら(極端な話し)目標に届かずとも期日での最大パフォーマンスの制作で乗り切れた一面もあったことを振り返ると尚更に、制作行程のベクトルは丁寧方向に貼付きますので自身の中でのバランスを取ること自体が非常に難しく感じます。

兎に角本件を一日でも早く完遂させなければとコラムの更新も今年は敢えて封印をして参っておりましたところ、ある日のこと年々機会は減りつつあるものの以前は良く遊んで貰っていた会社勤務時代の師匠から久々にメールが届いたので返信をすると「コラムも更新されてないので潰れたんかと思たわ」と言われてしまい、実はリピートをして下さるお客様にも同様に(メールトラブルが要因として背景にはあったのですが)勘違いされてしまったりと看過出来ない実情に慌てて更新する次第です。

本サイトトップページでも今月中とご案内しておりました(ほんの一部で恐縮ですが)「オシ16」のサンプルパーツをご覧下さい。

前位サロンの①-③位側テーブル席廻りのパーツです。(画像をクリックすると別画面で拡大表示されます。ご参照下さい)

例により側面内装を印刷表現した①-③位側パネル、そのパネルに接着するテーブル、車体側の床板取付けアングル上面に接着する床ホルダ、オシ16形で特徴的な床ホルダに固定する跳ね上げ式の椅子の配置状況です。(側パネル奥に見える真鍮色の物体と画面右の帯状の白い物体は撮影上の支持体で製品とは無関係です)

側パネルの薄茶色の四角は窓抜きした透明部分です。本製品では「オシ17」製品同様にフジモデルさんのキットに含まれない側窓のサッシについても(オシ17ではポリカ素材を用いたハンドメイドパーツでしたが)アクリル素材を採用しレーザーカットしてシルバーに塗装したサッシスペーサパーツが付属し、組立てると側窓の全周に車内側からサッシの縁が覗きます。

テーブルもアクリル素材のレーザーカット品で、営業時でもテーブルクロスは使われず特徴的だった実車天面の木目化粧板は印刷により表現しております。さらにテーブル全周に廻る押縁はシルバー塗装で表現しています。(但し押縁の天板への僅かな廻り込みは表現を省略しました)

テーブル席に備わる背ずりを前後で共用する折り畳み椅子も、同様にアクリル素材のレーザーカットパーツです。この画像にはありませんが、手前側の前位中妻と奥側の料理室ユニット(チャイナタウン)それぞれに背を向ける専用の椅子もパーツとして付属します。
当初椅子の座布団が回転する方式で進めておりましたが加工の限界に阻まれ、やむを得ず折り畳まれた姿の固定式と致しました。この設計変更により本来は実車同様に備わるべき脚フレームを省略しておりますので組立説明書にはチャレンジされるお客様向けにその脚部分の図面を掲載する予定です。(尚、今回掲載致しました画像ですが、椅子の色の向きを誤って配置したまま撮影しておりました。本来は手前の椅子は黄色4号色が通路側・奥の椅子は通路側が灰色1号色の配置となるのが正解です。気が付いた時はあとの祭りで撮り直す時間も無く何卒ご容赦下さい)

只今テーブルの作成を急いでいる最中で、完了次第②-④位側の上下カウンタの塗装・組立、回転椅子用床ホルダの塗装・組立、回転椅子の作成・塗装・組立と進め、最後にダウンライトユニット・冷蔵庫・電子レンジ・飲料ストッカー・コンロ台・2組の戸棚・カウンタを合わせ料理室ユニットを作成する予定です。
サッシスペーサや②-④位側に貼付く手洗い器とパーテーション・東芝製のアイスクリームストッカーとパーテーション、従業員休憩室椅子の用意は完了しておりますが、今更乍らに遅れに遅れた要因を振り返ると、根本は自身の見通しの甘さに他ならない訳ですが、ハンドメイド故に必ずといってよいほど付きまとうトライアル期間も馬鹿にならず、かといって大量のパーツもお客様のお手元へ届くのは唯一であることを思うと不手際は許されず、気になればやり直すいつもの手当も、もしかすると過ぎるのかも知れませんが、本当に何が起こるか予測が付かない現状だけに、軽々しくは慎むべきと未だ発売時期のご案内は控える次第です。

久々のホームページ更新は失念技多発に戸惑う始末でした。ネタが溜まる一方のコラムもまた暫く放置状態になろうかと思いますが、突然死でも無い限り告知は致しますので音沙汰は無くともどうぞご安心下さいませ。
(2018.10.30wrote)

 
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第42話【年末の反省】

年末までに開発中の新製品インテリアパネルキット「オシ16」の②-④位側パネル・窓下に上下2段で備わるカウンタテーブル・朱と黄色が交互に並ぶカラフルな回転椅子と床ホルダ・カウンタの端に立つパーテーションを背にしたアイスクリームストッカー及び手洗い器などの表情をお伝えする心積もりで制作を進め大半は片付いたのですが、残る回転椅子の制作にかかれたのが本日になってからと遂に時間切れを迎えてしまいました。正月返上で急ぐ所存です。

なかなか完遂しない「オシ16」の制作に猛省する1年の間に、今年は日頃当たり前のようにこの先も存続するものと疑いもしなかった老舗の模型メーカーの廃業が相次いだ淋しくて残念でやり切れない年でもありました。
また最近報道で知った激安を売りに顧客から前金を吸い上げた挙げ句に商品を届けずに姿を眩ますという販売店が現れるなど考えられないご時勢にあっては尚更のこと、惜しまれつつ扉を閉める姿は愛されてなんぼの模型屋さんたる所以がそこにあったと申せましょう。目指すべき姿と心得1年の締めくくりに致します。
(2018.12.31wrote)

 
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第43話【オシ16をほんの少しだけ 2】

本来なら年末にご案内するべきところでした開発中の新製品インテリアパネルキット「オシ16」の②-④位側パネル廻りの件、ようやくパーツの仮組みが出来上がりましたのでその表情をご覧下さい。

②-④位側パネル前後位に位置するサロンカウンタ席です。(画像をクリックすると別画面で拡大表示されます。ご参照下さい)

側パネル(窓は透明になります)窓下に上下2段のカウンタテーブルが備わります。
上段の奥行きの狭い小物テーブルはクリーム色に塗装したLアングルで、画像では分かりにくいですが実車同様に立面の「ぶどう色2号」色デコラパネル面を印刷で表現しております。下段の食卓カウンタテーブルは黒い化粧板の天面を印刷表現し端面の押縁はシルバー塗装にて表現致しました。

窓向きに並ぶ朱と黄色の回転椅子は例により椅子の脚底を床ホルダに接着し車内の床下取付アングルの上に貼付けます。構造上向きを変えることが容易ですので整然と並ぶ姿以外のアレンジも楽しめそうです。現段階ではまだ椅子の仕上げに荒さが残りますので製品では改良を加える予定です。

ご覧のようにカウンタ席の中央寄りにはアイスクリームストッカーと手洗い器が備わります。それぞれパーテーションと一体のパーツとなっており設置済みの両面テープで側パネルに固定します。また手洗い器上方の紙タオル入れは飛び出しが大きいため立体パーツで表現致しました。

以上簡単ではございますが取急ぎご案内申し上げます。先を急ぎます。
(2019.01.05wrote)

 
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第44話【新製品 インテリアパネルキット オシ16に寄せて】

根本の見込みの甘さで当初の予定から随分とお待たせしてしまい、ようやく本年9月末に発売を致しました新製品「インテリアパネルキット オシ16」は、お陰様で多くのコアな愛好家の皆様のご支持を賜りまして、レーザーカットした板状のプレパーツの組上げや下地塗装・マスキング・本塗り・弊社製品の特徴である描画印刷紙の貼り込みなど、自身1名で作製を致しますことと個々のパーツの仕上げに多くの手間を要しますことから量産が侭ならず、少量単位での製品確保に終始致しますために初回ロットは早々に品切れとなってしまい、次回1月末〜2月中お届けを予定してございます生産分もご予約完売となり、相変わらずにお待たせを致しますことから抜け出せない状況が続きますが、まだプレパーツには十分余裕がございますため引き続きご予約承りを継続してございます。

弊社のどの製品についても、パーツの基となる素材の入手が困難とならない限りは基本的に生産を継続して参る所存ですが、起業以来少しずつ品目を増やす中で、開発に要する時間も馬鹿になりませんし、ハンドメイドを言い訳にはしたくありませんが、安定的な在庫の確保にはなかなかに至らず、ほぼほぼ受注生産の体制が常態化しておりますことにつきましては改めてお詫びを申し上げますとともにご理解をお願いしたく思う次第です。

さて弊社の商品ラインナップは(工作技術・要件・製品コストなどの縛りはつきまとうものの)実車内装の可能な限りの再現を目指す上で不可欠と意識を致します入手可能な文献・資料の観察・読み込みとともに自身の実車体験を重視して決定を致します。

元祖サロンカー・星さんの傑作と申せるオシ16形については、残念なことに乗車の機会は訪れること無く、現役の時代はいつも外から眺めるだけでしたが、勿論昔からの大好物の客車でしたので、プライベイトでは長らく封印していた16番鉄道模型を、父親の他界を契機に再開して早々に工作に着手したのも、フジモデルさんの「オシ16」形でした。

その時に作製したモデルが、HPの「発売予定品」ページにて長らく掲載しておりました現物そのものなのですが、窓越しに車内の様子が良く見渡せるのがオシ16形の特徴でもあるだけに内装は是非とも拵えたいと思って(身の丈とも相談しながら)思案の挙げ句に一応の仕上げとしたのがあの状態でしたが、いよいよ製品に落とし込む段階となりますとそれこそ車内が良く見渡せるだけに役不足なのは否めず、製品化に於いては徹底的に実車を見詰め直して内装パーツを再構築することに致しました。

自身が最後にオシ16形の現役の姿を見届けたのは、山陽新幹線岡山開業改正を目前にした春先の三ノ宮駅のホームで、宇野からやって来た上り急行「瀬戸2号」6号車に組成されていた姿でした。「瀬戸」は同改正で20系特急への格上げを控えておりましたので惜別の思いもひとしおでしたが、時は流れ最後に会いに行ったこと自体を忘れかけておりましたこともあり今回のミッションの中でふいに呼び覚ませた今となってはありがたい記憶です。

調べて行くうちに、他社様の内装を完備したOJ完成品や博物館の展示モデルであっても実車と異なる内装の色調であることに気付きましたが、それらはどうやら鉄道誌等で紹介される機会の多い(かつての)「国鉄車両設計事務所」が公表したラフな内装のスケッチに色指示が施された資料に影響されているように思えます。あくまで「案」の段階の資料ですので、実車を知る皆様であれば直ぐに誤りに気付かれるハズですから、現役時代をご存知の愛好家の皆様には殊更に懐かしんで頂ける製品へと少しでも近づけるようにと腐心を致しました。

パーツの色調は指定された当時の色番を元に、以前にも申し上げたかと思いますが色の特性として色の面積に寄って見え方が異なって参ります(同じ色番でも色合いによって、模型のような小さなパーツに施すとより濃く、実車のような広い面積に施すとより淡く見えます)ので、その特性を念頭に微調整しております。

ここからは余談になりますが、製品づくりにも関わる自身の模型づくりのスタンスと致しまして、模型は所詮は模型ですので自由に楽しむべきものであって然るべきと思う一方で、日頃から鉄道という産業遺産を後世に伝承する意味合いに於いては、前述した展示モデルのごとく大宮であれ京都であれ名古屋であれ、今日の鉄道博物館の展示には物足りなさを感じておりますだけに、模型であっても産業遺産の伝承の一翼を僅かでも担えれば本望という思いが致します。

オシ16製品発売と同時に、いつもお世話を頂きますRM MODELS様やとれいん様へ、製品情報をお届けする心積もりをしておりましたのに、雑多な業務に追い立てられるうちにタイミングを逸してしまいましたし、いよいよもってプライベイトで模型を弄る時間は全く取れませんし、度々お誘いを頂くお客様の運転会にもついぞ参加出来ず、前職の師匠やお仲間の集いも不義理を致しますし、年末恒例の年賀状制作もいつもなら一言書き添えるメッセージを諦めましたし、毎年年初には少なくとも月1の更新をと思いを新たに致しますコラムの更新についても、ついに今年もこれが2回目という、本当は沢山控えます実車体験のお話しなどを、記憶の薄れぬうちに書き留めておきたいところなのですが、なかなか実現致しません。いよいよまずいと本日は意を決してコラムの更新に時間を充てた次第です。

次期新製品の開発も控えておりますし、実は時々頂戴を致します特注品の製作も道半ばで、相も変わらず事は捗らず、反省点山積のままに年越しとなりそうです。
今年1年のご愛顧に感謝申し上げますとともに来年もよろしくお願い申し上げます。皆様どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。
(2019.12.30wrote)

 
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第45話【デジタル依存の憂鬱】

久々のコラムは暫くトップページにてご案内申し上げておりましたこの度の平素より業務の要として酷使しておりましたPCに降り掛った思いも寄らぬ障害に俟つわるお話しです。
鉄分要素0ですのでスルーはご随意によろしくお願い申し上げます。

自身の仕事上のパソコンとの付き合いの始まりは、まだインターネットもEメールも無かった頃の30年程前に遡るかと思いますが、当時勤めておりました会社のデザイン業務も本社を皮切りにデジタル化が開始され、やがて私が所属していたデザイン部でもMacintoshコンピュータの導入が計られることとなりました。
比較的規模の大きなメーカーのデザイン部門の特徴として、関東系がひとつ所に拠点を構える傾向にあるのに対して、現場主義を重視する傾向の関西系は各地に点在する生産部門それぞれに拠点を分散させていたため、デジタルの導入に際してどこのデザイン部門でもメンバーの中から専任に近い担当者がそれぞれに任命されることとなり、その折私も所属長から「あんたメカ好きやからやってくれるか?」と幸か不幸か専任に任命されてしまい、汽車・電車・気動車・クルマにモーターサイクルと、機関であったり機構は好物なれど実のところはその対極のブラックボックスたるコンピュータは苦手の極みであっただけに当時は相当に頭を抱えた次第です。

幸い?工場の担当する商品が家事をターゲットとする所謂白モノ家電と呼ばれる予算的には厳しい部門であったことからデジタル化も後発の部類で、既に導入を果たしていた他部署のノウハウを活かせた上にコンピュータの仕組み・扱い方や描画に必要なイラストレータやフォトショップなどのアプリケーションソフトの習熟のためにセミナー通わせて頂いたことでハードの導入から部員への普及へと、先ずは広く浅くでしたが個人個人の努力のお陰もあって結果的には上手く稼働させることが出来ました。
しかしその時点での今時のパソコンMacintoshを知るに至り、それまでMicrosoft BASICであったりMS-DOSであったりMSXパソコンなどに自身が抱いていた難解さ・近寄り難さは微塵もなく極めてユーザーフレンドリーであったことに驚愕するとともに、SONYにも相通ずるApple社の生活に溶け込む道具としての在り方を追求するフィロソフィには痛く感心致しました。

部署への導入当時、Macintosh本体価格120万円・ソニー製21インチトリニトロンモニターが90万円・キャノンのカラーコピー機360万円・コビー機との間を取持ってイラストレータなどポストスクリプト言語で書き出すソフトの印刷を可能にするポストスクリプトプロセッサが200万円と、今考えても良く稟議が通ったなと感慨深いところがありますが、既にMacintoshパソコンとの出会いに良い具合に知的好奇心をくすぐられてしまっていた私は販売代理店さんの顔見知りに「このシステムが家庭に普及するのにあとどれくらいかかるやろ?」と尋ねてみたところその時は「10年先ですかね?」との返答でした。
実際にはそこから5年もしないうちに頑張ったら誰もが手に入る普及価格帯の製品が登場し、さらに丁度そこそこの性能のインクジェットプリンタが出始めた頃でしたので、様々な要因で模型休眠中の時期と重なっていたことで遂にモニタ一体型のLC575を文字通りのパソコンとして初導入するに至ります。

そこからマルチタスク(同画面で複数のアプリケーションを操作)にも到達していない代物だった(Macintoshで言えば88年頃のレベルの)Windows95発売の(個人的には理解に苦しむ)狂乱を経てパソコン市場の趨勢はWindowsが大勢を決し、最早仕事に必須のイラストレータやフォトショップといったアドビ社製アプリケーションでもウインドウズ版が手に入る時代ながら、その間我が家では奥さん用に娘用にとMacの増備が続き(社会人の娘が個人で入手したものを除いても)トータルで7〜8台のMacにお世話になった勘定ですが、高性能・低価格になるにつれて振り返って確実に言えることは、壊れ易くなっているということです。
初代のLC575は今でも通電すればイラストレータ(バージョン1.96の時代です)も動きます。これまで工作業務の主力として貢献しつつも今回問題を起こしたのは(8台目となる)iMac27inch2009年モデルで起業にあたり更新した機種ですが、当初から発熱が激しく(冷却システムの構造から理屈は分かるのですが)それにしても(マンションの規約で作業部屋にエアコンが無いこともあって)夏場ともなると流石に不安になり午後の一定時間は休止させるなどの対処で凌いで来ましたが昨年秋あたりから(詳細は省きますが)原因不明の対処のしようの無いトラブルに見舞われるようになりそれがなまじ間を置けばまた回復するものですから、日々の手間のかかる作業に追われる中で完全に復旧させるためには一時休業を覚悟しなければならないことにビビる余りやり過ごす日常となり、いよいよ末期となりつつあった今年7月後半からは機嫌良く稼働している間に受注品に必要な印刷物の出力に加えお客様へのご連絡・受発注などのPC業務の都度完遂に最大限に注力するとともに万が一に備え受注内容やお客様情報などを手書きでメモに残す作業などで地獄の日々を送りました。

丁度数件の「オシ17」製品など直近の受注品の製作に追われていた矢先の8月10日、遂にどう頑張っても全く起動しなくなり臨終を迎えました。
歴代のMacに於いてこのような経験は無く厄介な状況に追い込まれることになりましたが途方に暮れた理由は他にあって、業務に必要な全てのデータは外付けのHDDでバックアップしてあるので問題は無いのですが、製品製作の要であるアドビ社製のアプリケーションは現在クラウド版のみでですので最新機種に更新するとなると、これまでは買取で済んでいたコストがクラウド版では月極となり毎月使用料が発生するという点で、人件費を度返してギリギリのコストで運営する零細メーカーにとっては可能な限り回避したい死活問題に他なりません。メーカー出身者としてはクラウド版にすればDVD-ROMやパッケージの作製・在庫・流通コストなどの全てから解放されるのに月々の使用料がこれほどに馬鹿高いのにはどうにも納得が行きません。
機種を最新に更新して手持ちのアドビアプリケーションを使う方法が実は無いことは無いのですが、この場合新機種ヘはバージョンの問題でこれまでのメールの内容を移行出来ない問題が生じます。勿論購入履歴などお客様情報そのものはバックアップで管理していますが、メールにてそれぞれその都度どんなやり取りをしたかについてはある意味自身の宝でもありこれを消失させる訳には参りません。

このようなことからなんとしても修理して復旧を試みる方針で腹を括りましたが、直近の受注品を仕上げた時点で気が付けばもう1ヶ月近くもメールチェック出来ていないという深刻な状況を先ずは解消するために(ネットも使えませんので…実は未だにガラ携です)久々に阪急電車に乗って三宮へ出掛けてジョーシンさんで探すと(丁度2020年モデルの発売前であったようで)予約受付中の製品ばかりの中で目に留まった辛うじて在庫あと2台の最もスペックの低いiMac21.5inch2017年モデルを購入しようやく通信手段を確保したところで、もう10年も経過したMacなどAppleでは修理の対象外ですのでMacに精通する後輩のアドバイスを頼りにMac修理の専門店を探し出し委ねることに致しました。
症状から液晶パネルかグラフィックボードの不具合を予測しておりましたが、電源ユニットの不具合に始まって果てはロジックボードが壊れていることが判明し、このままでは費用が嵩む一方なため同時期の中古品にHDDを移植するという業者さんの提案を了承し結局修理に1ヶ月程を要しましたが9月末無事に復旧を果たして手元に戻って参りました。

こうしてなんとか危機を乗り越えつつあるところですが、戻って来たiMacは前と同じ27inchの2009年型モデルながらCPUは下位スペックのタイプとなり、オフィスで使われていたものなのか所々にキズや汚れが付着していて出来る限り綺麗に掃除してあげましたが、この度の経験はこれまで長年に渡りMacを使い続けて来たことで特有のその普遍性に却って常識の変化を見落としてしまっていた自身に気がつかされた思いが致します。実は昨年来パソコン以外の機材・家電などが壊れるトラブルが頻発しており次は何に襲われるのかと憂鬱です。
修理したパソコンの細かな動作確認が続きますが、年代物であることには変わりありませんので決して快適とは言えず、最新モデルで手持ちのアプリケーションを使う裏技も最近次世代Macに噂されているCPUの刷新が実施されるとなると対応出来なくなる可能性もありますので2020年モデルのうちに新機種への更新をやはり考えて行かないといけないのかなと、いつの間にやらすっかり27インチ画面に慣れてしまい分不相応に贅沢な身となってしまったようで、清廉なれど21.5インチの狭い画面の新入りiMacでは老眼も手伝うためかどうも煩わしさが先立ちこの悩みは当面尾を引くことになりそうです。

最後にこの度の修理でお世話になった「パソコン修理24」三宮店店長のK様と、個人的に大変な時期にもかかわらず都度ご教示を頂いたMacの達人後輩Mちゃんに改めて厚く御礼申し上げます。
(2020.09.28wrote)

 
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第46話【インテリアパネルキット オシ16開発こぼれ話し:その1】

製品化に随分とお待たせしてしまった挙げ句にいざ製作を始めると、ラインナップ中最も手間を要する製品であることに気が付いたところで後の祭りで、発売後も未だお届けにお待たせを致します状況を先ずはお詫び申し上げます。

開発に際しては他の製品同様自身の技量を踏まえて側板や中妻などの壁面の表現には弊社製品の特徴でもある印刷パネル方式を踏襲致しましたが、実車の構造上ほぼほぼ全周から窓越しにサロン席・ビュッフェ(通称チャイナタウン)と楽しい車内が覗けますので、個々のパーツは出来る限り立体にしたく、当初は近頃RMモデルズさん誌上でも特集が組まれるようになった3Dプリンタの導入も考えましたが、どんな方式にしても造形データを出力したら即出来上がりというレベルにはやはり到達してない現状のため、所要時間や仕上げの手間を思うと量産にはまだ役不足と判断し導入は見送ることにして、全ての立体パーツを吟味した市販の工作用素材の適宜手加工と既にオシ17製品の一部で実積のあるアクリル板・レイアウトシート(厚紙)をレーザーカット加工した板材を組上げて立体にする方式で乗り切ることに致しました。

結果、自身の工作技量に見合う組み易い構成を念頭に、製品強度の確保や実車に則した破綻の無い形状の再現に最大限気を配りながらの(ある意味楽しい)作図を仕上げてオシ17製品でもお世話になったレーザー加工業者様へ図面を持込み(加工上の擦り合わせを経て)板状のプレパーツに仕上げて頂きました。
加工依頼の大半は極少サイズの切出しばかりになりますので随分とお手間をお掛けすることになりましたが、レーザー加工にお力添え下さいましたこのお会社はなかなかに興味深く、いつもコラムネタにしようと思いながら機会を逸しておりましたが、「有限会社ハイ・メタル」というお会社で本業は金属加工・金属材料卸等ですが、一方でレーザー加工機を用いた新規事業を開拓されていて、自社オリジナルのペーパクラフト品の製品展開などの傍らアーティスト・デザイナーなどをターゲットに需要喚起する活動にも取り組まれていて、実は私の会社勤務時代の師匠が芸大で教鞭を取られていた時分に教え子の作品制作でハイ・メタルさんとご縁があったことが廻り廻って私の知るところとなりお付き合いさせて頂くようになりました。
ハイ・メタルさんは大阪市東部の生野区に所在し最寄り駅は関西線(大和路線)の「東部市場前」駅で、ここからですと阪急電車で梅田へ出たら大阪環状線に乗換え天王寺で大和路線に乗り継ぎますが、最初に出向いた時はまだ103系が走っていて僅かな乗車時間ながら久々の再会にはしみじみと致しました。お会社は駅から北へ20分程歩いたところにあり道すがら東部市場に隣接するJR貨物の「百済貨物ターミナル」駅がありますので終端で佇む今時の直流機を愛でられて鉄にとってはなかなかに楽しい散策コースになります。

レーザービームのエネルギーで素材を裁ち切るレーザーカット加工は、先ず加工に適した素材であるかどうかを厳格に選びますし素材の厚みに応じて一定の間の確保が必要で素材が厚いと刃の入り始めから切り終わるまでの僅かな時間差で(素材に寄っては)断面にテーパーが付くなど、当初素人考えで想像していた以上の制約があって、後々の組上げの段階で支障が出ないようにそれらの条件を折り込んだ寸法取りに特に注意を払う必要があります。
レーザーカット加工を担当されていて日頃からご指導を頂くハイ・メタルの樽木専務様は私と同じく1957年の早生まれと偶然の昭和31年度同級生で、そのためかは分かりませんが、デザイナーの視点ながら長年モノ作りの現場にて様々なタイプのエンジニアの皆さんと接した経験から申しましても、僭越ながら目的達成のための技術課題に提案志向で向き合う頼もしいタイプのエンジニアとお見受け致します。
先日樽木様より自社開発商品ショップ「muranami」(むらなみ)を開設された旨のご連絡を頂きました。レーザーカット加工による主に明治村の展示建造物をモチーフとしたペーパークラフトキットシリーズで、最近12号機関車やN電もラインナップに加わり以前から愛知県犬山市の「博物館明治村」のショップ店頭でノベルティグッズとして販売されていて見掛けた方も多いかと思いますが、スケールはモデルによって様々で私たちが日頃向き合う精密模型の世界と角度の異なるゆるふあな味わいも漂いそれもまた模型の魅力のひとつと感じます。ストラクチャ素材として活用のご参考になるかとご紹介申し上げます。

最近のことですが、3Dプリンタで加工したオシ16形内装用パーツ一式(樹脂の生地パーツに見えました)をセットにした製品が13万円程で販売されているのを何かのメディアで見掛けました。まさしく自身が回避した手法での製品化で計り知れない苦労が垣間見えその執念には全く恐れ入りましたが、オシ16形専用の内装製品が少ない現状だけにモデラーの意欲を喚起する製品が増えることは自身の好物車輌であるだけに有り難い傾向に思えます。
(2020.09.29wrote)

 
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第47話【インテリアパネルキット オシ16開発こぼれ話し:その2】

実車のオシ16形といえば我々世代にとってはこれが「サロンカー」で、当初の計画からすると甚だ少ない僅か6輌の製造に終わりながらも敬愛する名プロデューサー星晃さんの傑作のひとつと申せ、製品化するにあたり改めて詳細に調べ上げると忘れていた事・新たな発見などが入り交じり更にその思いを強く致しました。

オシ17形と違って残念ながら実車への乗車体験は無く急行列車の編成のアクセントとしても際立っていた流麗な車体をいつも憧れの目で外から眺めるばかりでしたが、製品を発売するとお客様からのご質問でたまに頂いたのが「サロンテーブル席のテーブルにテーブルクロスは無かったのか?」という件で、掻き集めた資料にある営業中の写真にテーブルクロスはありませんし、当時の慣例として生地仕上げで留めていたテーブルトップを木目デコラ貼りとした上に怪我をしないよう端面にアルミの押縁を巡らせた仕様がクロス省略の方針を物語っていますが、そんなことをつらつら考えるうちにそういえばと、新幹線岡山開業を控える一年前だったか或は間近の春休みのことだったか定かでは無いのですが、当時九州在住の身で毎年春と夏には神戸の親戚を頼り模型屋さん巡りをするのが恒例となっておりまして「いよいよオシ16形も見納め」という思いに駆られて夜の三ノ宮駅に出掛けて上り「瀬戸2号」6号車のオシ16形をお見送りした何故かすっかりと忘れていた記憶が甦りました。
当時は撮影より(狂乱のSLブームの経験から嫌気が差しそもそも撮影に積極的では無くなっておりました故)模型への支出に支配されておりましたし、そもそも今と違って夜間撮影というだけでハードルは上がり貧乏学生にとってストロボも高値の華で精々頑張ってASA400の高感度フィルムで抗うしかない時代でしたので肝心の写真が1枚もありません。
今にして思えば記録を残して置かなかったことを後悔するばかりですが、最後の活躍を見せるオシ16形営業時の姿を兎に角目に焼き付けた(はずの)夜でした。

実車のオシ16形はオシ16 1及びオシ16 2については床下に吊られた2基のディーゼル発電ユニットの向きが災いして、営業に入るとディーゼルエンジンからの排気臭が②-④位側板中央の3連下降窓から車内に侵入するトラブルが生じたため、オシ16 3以降は発電ユニットの向きが反転します。 また①-③位側板には電子レンジ用にスリットタイプの通気口が設けられましたが、電子レンジが間に合わず搭載されないまま出場したため登場時の通気口は板で塞がれていました。
本製品の適合対象となるフジモデルさんの塗装済みの方のキットは発電ユニット反転後の床下配置で、①-③位側板には通気口が表現されていますので、プロトタイプはオシ16 3以降に相当します。オシ16 1・オシ16 2も後に発電ユニットの向きを反転させる改造を受けており1964年に撮影された写真に映るオシ16 1の発電ユニットは改造後の姿となっていました。拘れば車番1・2を付与する際は青15号色の出立ちで纏める方向が無難かと思います。

オシ17 1・2のみの特徴としてはオシ16 3以降と④位端に位置する物置の一部に引戸が無く露出する設えとなっていて、ここは最後までこの姿のままでした。製品ではその仕様の再現用に専用のパネルパーツを同梱しております。また最終増備となるオシ16 2006のみ①-③位側の料理室内の業務用開戸がそれまでの左開きの構造から右開きに変わります。外観に把手がありませんので外見に変化はありませんが、内装を再現出来るよう付属するシールパーツに右開き扉の姿を描画し収録しておりますので切出して①-③位側パネルの扉の描画部分に上貼りしてお使い頂けます。

製品化に際して色々と調べておりますと例えば有名なところではオシ16形に搭載された電子レンジは記念すべき国産初の電子レンジそのものなのですが、他に冷房用の空調技術が後の家庭用ルームクーラーの礎となるなど、奇しくも国鉄車輌開発が電化製品開発に影響を与えたと言えるようで、このとてつもなく図体の大きな東芝製の電子レンジも、開発メーカーを選定する際たまたま東芝に勤めていた出身大学の同期への声掛けで東芝で開発された経緯があり、なかなかに緩い時代だったなとある意味羨ましく感じたりもします。
オシ16形では電気容量の関係で傍らの電気コンロとの同時使用が出来なかったため現場も苦労されたようですが、この電子レンジはそのまま(確か外観色はグレーに変更されていたかと思いますが)2年後に開業する東海道新幹線電車のビュッフェにも搭載されて大活躍することになります。
オシ16形では他にオシ17形の時代はまだ氷で冷やしていた冷蔵庫も立派な電気冷蔵庫になりましたし、客車というハンディを背負いながらも冷水器・温水器・飲料ストッカー・アイスクリームストッカー・電気コンロ・トースター・コーヒー沸かし器と電化製品で溢れます。電気コンロ・トースター・コーヒー沸かし器は不明ですが、三菱製MP220-A形飲料ストッカー以外全て東芝製というところがしかし若干匂います…

製品化に於いて、出来る限りの個々の什器・機器形状の再現に努める(勿論自身の技量を踏まえてのことですので、在りものの市販のリベットで回転椅子の脚部を表現したり致しましたが…ですのでスケール的には明らかに太いです)とともに特に全般的に色調については最大限に注力致しました。
何故かと言えばことオシ16形に関してはどういう訳か内装を完備したOJゲージのモデルであったり更には博物館の展示モデルでも実車とはかけ離れた色使いである事実をなんとかしたいという思いからで、何故こうした誤りが起こるのかについてはよく解りませんがひとつは当時オシ16形開発の中枢だった車輌設計事務所が公表した各部の色調を伝えるイラストが原因なのかなと思うところがあります。
この資料は実車が出来上がる以前の「案」の段階のものですので全くといって良い程実車とは異なります。正しい色番などその気になれば私ごときの分際でも調べられるのにと素朴な疑問が沸いて参りますが、なかなかに興味深かったのは一見カラフルに見えて各色番に新色が見当たらないという点で、黒岩保美さんが操られていたのかコーディネイトのセンスに改めて感心致します。
実車が失われて久しく最早忘れ去られそうな楽しい工夫もあって、戸棚の内部は全て外壁面と異なる色で着色されていました。レール方向が長手となる棚の内壁は「青15号」(従って内壁が露出する飾棚の背景は青15号色で描画しています)、長手が枕木方向になる棚の内壁は「ぶどう色2号」で塗られていて、これは乗客から丸見えとなるビュッフェ特有の空間で、業務上頻繁に戸棚を開け閉めする際にみすぼらしくならないようにした配慮他ならず、本件を取ってみてもオシ16形では気配りに満ちあふれた設計が成されていたことが伺えます。

例によって面積対比で見え方の変わる色の特性に配慮した色出しに留意し、実車に於いてもわざと周囲のクリーム色より濃く仕上げてあるダウンライトケースの立面も同様に再現致しましたので(オーバースケールの回転椅子脚支柱にはご勘弁を頂きまして)オシ16形内装の色調を正しく伝える現状唯一のモデルであることをお約束致します。

改めて読み返すとコラム第44話でお話させていただいた内容と重複する話題が多いことに気付いた次第で忘れ勝ちの老害の弊害をお許し願いまして結びと致します。
(2020.10.01wrote)

 
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第48話【模型界で気になること】

コロナ禍に見舞われて以降激変する生活様式に時に気疲れする日々が続きます。多くのお客様から「余暇時間は増えたが身入りは減った」と異口同音のお声が届きます。

8月10日にPCが完全にダウンして以降2ヶ月弱、事業の要であるPCが使えないという更なる緊急事態に陥り、お待たせを致しますオシ16製品のPCに依存しない部分での工作はその間も細々と継続しておりますが、次期予定品については中途の段階で完全にストップ致しましたため、この時間ロスは如何ともし難く再度販売スケジュールを見直さざるを得ず、只今アナウンスしております発売予定日程も今後変更になる可能性がございます。何卒容赦下さいますようお願いを申し上げます。

ところで話題は変わりますが、模型界の製品で内装の表現について以前は包んでお話しさせて頂いたかと思いますがやはりどうも見過ごせない事例で改めて僭越ながらお話しを致します。(殆どボヤきです)

ひつとは老舗天賞堂さんの151系なのですが、多岐に渡る車型が存在するだけにメーカー視点では尻込みせざるを得ないこの型式の製品化は大歓迎で実にあっぱれ!なのですが、問題はクロ151形パーラーカー開放室のハイライトとなるR2形1人用座席で、オーバースケールである上に実車の雰囲気とは大きくかけ離れて大窓の半分にかかりそうな程に目に付く背もたれの高さは本当に台無しで、問い合わせた際の商品部さんの「構造上床板に厚みが出るため」という主張は果たしてKATOさんやTOMIXさんでも同じことをしただろうかと思うと未だに腑に落ちません。
R2形座席を設えたクロ151 1~6は腰板部分に足乗せ台(オットマン)が取り付いて、座席を15度窓向きに回転させた場合のみ足乗せ台が座面と繋がり機能する構造なので、気持ちは解らなくも無いのですが「ゆうなぎ」や「しおじ」などでクロ151形からクロ181形と、クロハになるまで実車を目にして来た自身にとって、座席を回転させた角度で走る姿は一度も見たことが無く、151系「つばめ」営業開始時にも「座席は真っ直ぐに正面に向かせて置くこと」とわざわざ現場にお達しがあったくらいにデフォルトとして徹底されていた史実に対して、例えば模型では座席の脚部(クリアランスが取れなければ座面にめり込ませてでも)キャップ式にして回転軸に座席を留める構造でユーザーが好みの向きを選択出来るようにするなどの配慮が無いのはとても残念なことと捉えざるを得ない心境です。
加えてもっと驚いたのはロザシートの背もたれの一部が床板の取付けビスの逃げとしてV字状に大胆に切り欠かれている点で天下の天賞堂さんにあるまじき乱暴な設計に正直落胆致しました。

もうひとつは大阪の名店のKATOさんのキハ82系製品をベースに内装をカスタマイズした名店お得意の特製品のお話しですが、カスタマイズした内装に乳白の樹脂パーツで実車にありもしない横引きカーテンが設えられていたことでした。
キハ60形に於ける出力増強チャレンジも空しく非力なDMH17H形エンジンに頼らざるを得なかったキハ81・82系はなにより軽量化が大命題でしたので、通路扉は戸袋の要らない開き戸に、ロザの絨毯は省かれ、ハザの背もたれ背面は樹脂貼りとして、窓カーテンはロザ・ハザともに巻上げカーテンのみでした。
模型は自由ではあるものの、これが経年ということなのか、老舗の名店なはずなのにHPでは横引きカーテンの設定をアピールするような文言まで記されていて実に悲しくなりました。

相変わらずなかなかコラムに取り組む時間が取れませんが次回からは是非乗り遅れたままの思い出の乗車記など楽しいネタに注力して参りたいと思います。
(2020.10.02wrote)

 
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第49話【国鉄時代・ハンズ三宮店・阪急電車】

先日amazonさんで購入したネコパブさんの「国鉄時代」が届くと、本の縦位置の端から1枚のページだけ台形状(幅7ミリ・長さ45ミリ程度)にはみ出ていてる箇所を発見し、そのページを開いてみるとV字状に大きくページの一部が破けて無くなっていました。



製本ミスなのは明らかで、HPにて交換の手続きを行うと品物は直ぐ翌日に届きましたが、問題は不良品の返品手続きで、amazonさんからメールで送られて来るQRコードをヤマトさんの店頭に置いてあるネコピットに読み込ませて入手する送り状で返品するという通常の集荷に対応していないシステマティクな点で、スマホがあればお手軽なんでしょうがガラ携の身分となると、メール上のQRコードの画像を(ネコピットがどんなものかイメージに無かったため念のために)スマホ画面サイズでQRコードを印刷したカードを拵えるなどという馬鹿げた準備に加え、コロナ蔓延以降六甲模型さんへの納品時も往復徒歩(片道20分ほどですが)にするなど、最早密回避の意識に支配された身にとっては外出自体が重荷です。

三宮遠征も例のメールまで不通となってしまったPCトラブル禍中に慌ててお手軽機材購入のためジョーシンさんに駆け込んだ日以来久々なので、ならばついでにと日頃から送料が(往復の電車賃より)高かったりネットでは入手し辛い素材を確保して置こうと東急ハンズさんに立寄ると、目当ての素材が軒並み売り切れていたので傍らの店員さんに尋ねると「12月で閉店が決まっているので補充もストップしている」とのことで、閉店の噂は以前から漏れ聞いてはいたものの当日も普段通りの賑わいで、神戸市営地下鉄西神山手線三宮駅に直結する(紀香婚ですっかり全国区となった)生田神社すぐお隣りの便利な1等地に立地していますが、沿線に点在するクリエイティブ系など数々の大学や専門学校生の需要など、やはりウィズコロナの影響が厳しかったようで、しかも閉店するのは三宮店だけと、ハンズでもここでしか買えないオリジナル商品がありますし、個人的には飲兵衛仲間とここから歩いて直ぐの北野にある隠れ家的酒房に繰り出す際の集合場所でもありましたので、勿論工芸好きとしても見て回るだけでも楽しい神戸カルチャーの発信基地がひとつまるまる消えて無くなるというのは本当にショックです。
跡地がどうなるかについても、近所ではようやくと言うか、実は震災以降ずっと仮設のままだった阪急神戸三宮駅の高層駅ビルが建設中ですが、メディアで華麗な渋谷駅再開発など見せつけられる度に、未だ真の復興にはほど遠い経済格差を意識付けさせられるのが日常ですから余計気掛りになります。
因に以前ハンズ三宮店近くにお気に入りのケーキ屋さんが2軒ありましたが、2軒とも閉店してしまい今跡地はコンビニとドラッグストアです。それぞれに利便性という値打ちはあれど街並の風情は残念ながら失われてしまいました。

アテ外れの寄り道もそこそこに阪急三宮駅から帰路に付き乗車したのは、気が付けば随分と増備の進んだ1000系(Tc1007編成)でした。
幌枠が省略された日立臭のするこの顔付きには相変わらず馴染めませんが、まだインプレッションを記しておりませんでしたので少し触れて置きますと、近頃主流となりつつある密閉型の全閉自冷式主電動機を手にした1000系の走行音(騒音)は成る程静かになりましたが、M車に乗車してみるとさほど変わりは無く、顕著に感じられるのはホームを離れる時などの音を外から聞くシチュエーションにどうやら限られるようです。
またモーターの回転が停止する寸前に冷却系かと想像する(すみませんしっかり調べておりません) 狭い流路を液体が通過するような独特な音がして興味深く、いかにも新しい電車に乗っている感覚はなかなかに新鮮でした。

しかしながら予想していた通りに不満点も続出し、中でも予想すらしていなかった点で気になったのが振動係数の絡みなのか9000系にも無かったジョイント通過直後のバウンドが1度では収まらず何度か連続するという近年余り例の無い頂けない乗り心地だったことでした。
初めて乗車した際、レベルは遥かに違いますが今から50年程前に空気バネ台車の乗り心地に期待を抱き初乗車したキハ65形の余りに派手な縦揺れぶりに落胆した時のことを思わず思い出しておりました。1000系初体験で感じたこの違和感は今も続きます。

そして何より落胆したのはインテリアで、著しく芸に乏しいありきたりの不愉快なスタンションポールの出現を始めとして、ご時勢とは言え手摺・袖仕切・照明キセと汎用品の流用が目立ち、自前で丁寧に設えられていた時代の阪急電車の面影は失われました。
9300系・9000系に続いて1000系も天井から幕板へとシームレスにシボ加工された樹脂製パネルで覆われるため、結果的に木目デコラパネルの面積が減少し、マホガニーの芯材・辺材のトーン差で扉部や妻面の視認性を高める近年ご執心の様式と相まって、最早辺材を模した明るい木目の方は戸袋部分に僅かに残るだけの中途半端なコーディネイトにもデリカシーの無さを感じます。
大抵の乗物の内装に落ち着きとモダンな雰囲気を齎す筈の樹脂パネル構成は、伝統の木目デコラパネルとの相性がよろしく無いのか阪急電車の内装にはどうもしっくり来ないようで、間接照明を採用した9300・9000系ならまだしも、直接照明に戻された1000系では尚更に価値が薄れてしまったようで、やはり以前のように床から天井に立ち上がる腰板・側窓・幕板の面全体に伝統の木目があしらわれるインテリアの方が落ち着きでは勝るような気が致します。
そして天井は清潔感と奥行きを醸す乳白のデコラパネル構成で十分で、量産冷房車としてデビューした5100系以降一貫していた、天井両肩コーナーR面を残し2重構造で独立させたフラットな天井面の両端に(要所要所に拡声器も内蔵する)オリジナルのキセ付き室内灯をスッと2筋走らせて、中央の空間は冷風吹き出しグリルに活用するという、2重天井構造によってレール方向車体一杯に生まれる(乗客からは見え辛い)スキ間を集約分散式ユニットクーラーのリターン用吸い込み口として活用するという、きめ細やかな機能まで兼ね備えた天井面構成は簡潔で気持ちの良い秀逸なレイアウトだったと今でも思います。

冷房が無かった時代の通勤型車輌といえば(冬期は兎も角として)夏場は当然に殆どの季節ほぼほぼ所々で側窓が開けられていた姿が日常の光景で、鉄ちゃんにとっても開放された窓からダイレクトに伝わる走行音・踏切などの通過音は、いかにも電車に乗ってる感をライブで楽しめる正に夏フェスでした。
通勤型車輌への冷房サービスが浸透すると乗客の窓へ触れる機会も関心も薄れ、今や空調ありきの側窓固定化がトレンドとなる中、皮肉な事にこの度のコロナ騒動以降は昔に立ち戻ったように側窓の開いた電車が目立ちます。
近年既存型式の可成りの側窓がパワーウインドウ化されている阪急電車ですが、これまで宝の持ち腐れ感が否めなかったこの機能は奇しくもようやく乗客の役に立つサービスに昇格したようですが、一方で日除けは伝統の鎧戸からフリーストップタイプの巻上げカーテンへと移り変わり、当然のように1000系も巻上げ式ですから、テンションを確保するなどそれなりの工夫は見受けられるものの、開けた側窓から勢い良く侵入する風圧でパタパタと騒々しく暴れるカーテンを目の当たりにすると、かつてのアルミルーバー方式の鎧戸の日差しは遮るが風はしっかり通す機能はやはり良かったなと、淋しさを噛み締めつつそれ見たことかとオールドファンの心のざわつきは収まりません。
(2020.10.16wrote)

※撮影2014.03.12

 
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